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ノンフィクションフィクション


雨が降っても散らない桜があるように


目だけじゃなくて体も起ききっていなければもちろん脳みそだってまだ寝てる

いつもはじめに言うことを聞いてくれるのは体で目も開けられてないまま浴室に向かう

いしをちなみにここでいう脳みそは交感神経副交感神経など体に意思を伝達する所を除く

電車の時間に間に合わせようと髪も乾かせていないまま家を出る

カーテンを開けないので常に薄暗い家の中

まだ外も薄暗いことを想像していたが、玄関を開けた途端入り込んでくる日差しと暖かい風。春だ。なんだこの季節に乗り遅れていたのは私だけかとこんな自分に少し悲しくなった

新生活のためにと最近買った白い上着は自転車のハンドルを掴んだ腕から日差しを反射して眩しい

駅に着けば高校生たちが

見るからにこの春からの新入生なのだろう

まだ中学生上がりというように可愛らしくこれから始まる新生活に胸を膨らませているのが痛いほど伝わってきた。ただただ羨むことしかできなかった。新生活といえば私だって同じはずなのに、どうしてこうも違うのだろうおそらく今の私からは輝きの文字すら見出せないだろうな



桜も散った初夏の空気を感じる春に


明るく眩しく爽やかで対照的だった

少し寂しく感じるけど憎らしくはなかった

これもこれだよこれもあるんだよそう言い聞かせてくれている様だった

令和元年元日 5月1日

妻が亡くなった

よく人は「世界が真っ暗になった」とか「色を失った」とか言うけど思ったよりもそうではなくて、でもそれはまだ実感できいないからなのかもしれないし。今言えることは、俺の周りの世界は真っ暗にならないしむしろ色彩にはより一層の鮮やかさを感じるようになった 眩しいほどに。それと世界は御構い無しに回り続けることも知った。

いつの間にか飲むことが義務化してきた胃薬 1瓶の消費スピードも早まる。アメスピの12mg最近は以前よりも吸う感覚が短くなってきたように思う。妻は闘病を機にタバコをやめた。もちろん俺もやめればいい話なのは分かっているけど案外上手くいかないのがタバコというもので、つらい。

これから一人で娘たちを育てていくことへの不安や先の見えないこれからに最近は寝ても寝た気になれなかった。

帰宅して妻のカバンを整理した時2019年のスケジュール帳があった。そこには妻がよく作っていた料理のコツや隠し味が一枚の紙にびっしりと書いてあったが、こちらが読める字で書かれていたことからまだ元気のある時に書いていたのだろう。そして最後のメモのページには俺や娘たちに宛てた短いメッセージや今後のこと(死後のこと)が書かれていた。内容はここには書かない。

妻の財布の中には沢山のポイントカードや会員カード、そして数年前に帰省した際に皆んなで撮ったプリント倶楽部と俺と妻が結婚式(といってもこじんまりしたものだが)をあげた時の写真がプリントされたテレホンカードが入っていた。すごく懐かしい気持ちになった、ずっと見ていたら寂しくなってしまうので少し眺めた後に俺の財布にしまった。

妻と俺は4歳さで俺が年下だ。妻が入院している時高速に乗って病院へ向かいながらふと思い出していた、車種は違えど昔から助手席に乗ってくれていたこと、俺が友人たちと飲んだ時は夜中に電話しても迎えに来てくれたこと その時は俺が助手席に乗っていたこと、娘が生まれてからは後ろの席から会話したこと、それぞれ部分的ではありながらも思い出していた。

そういえば、出会いは職場に行くために乗った電車だったな。いや、思い出したことを全て書いていたらキリがないならやめよう、俺の心に残しておけばいい。



最期には、会えなかった。でもきっとこれで良かったのかもしれない。そもそも運命で決まっていたんだ。ショッピングモールで父からの連絡。ベンチに座った私の横を通り過ぎて行く人たちを眺めては「ああこの人にもこの人にも親がいるんだこの人も元気なんだ」と思っていた 同時に「この人もいつか死んでしまうのかこの人もか」と思ったりもした。人は死を免れないことを実感したし、そう思うと少し楽になれた気がした。

人は傘を選ぶ時に、自分の本当の好きな色が分かるんだと知った。私は今まで自分が青が好きだと思っていた。でも緑が好きだったようだ。自分が思っているより、自分は落ち着いていた。つい先程親が亡くなったなんて、今私とすれ違った人たち誰も気付かないんだろうなと思いながら歩いていた。

新しい緑色の傘を買って最寄駅からの道を歩く冬があけて春になって最近は暖かいよりも暑いが言葉として近しくなってきた。緑は爽やかに色付いて目につく。晴れていたのに雨になったり、綺麗な晴天なのにも関わらず涼しげな雨が地を濡らす。まさに五月雨だ、煌めきを目に映す。

そばにいたら、優しい音で伝えてねと思う。扉を一度コツンと軽くノックしてくれたり、机に置いてあった紙一枚を優しく床に落としてくれたり、そういうのがいいなと思う。


かすみ草は私も好きだよ。ありがとねこれからもよろしくね大好きだよ。